ニッポンの文化
2017.8.25

解体したら古い壁が顔を出した。写真は土壁の下地となる小舞。萱で下地の小舞を作り、土を塗る。小舞からはみ出た土が固まると壁は落ちない、むしろ一体化している。

土壁は土蔵にも使われているように防火性も高い。熱を入れないから夏も涼しい。田舎のおばあちゃん家に入るとエアコンも無いのに「ひんやり」しているアレ。

近年は温暖化により一昔前と比べると夏の気温も高い。それでも昔の家に入れば涼しい。それには理由がある。壁や屋根には土を、間仕切り壁は少なく、ほとんどが障子戸や襖。それらを開け放つことで風が抜ける。軒先の庇は長く、太陽光は室内まで入りにくい。また「打ち水」により気化熱で地面の熱を逃がすなど、自然に逆らうことなく快適な夏を過ごせる空間を先人達は創ってきた。

また先人は夏を五感で楽しんでいた。

「風鈴」耳で涼しさを感じる。風にゆられ心地よい音色が脳に響く。「うちわ」風を作ることはもちろん「うちわ」を見て楽しんでいた。「金魚」も見た目で涼む楽しみだったのだろうか。また「花火」は一瞬の美しさを目で感じ、音は耳で楽しみ、全身では音圧(爆発)を感じることができる。

ちょっと気にして観るだけで日本人の情緒で溢れていることがたくさんあることに気がつく。日本人なのに日本の文化を知らない、興味がない、それではちょっと寂しい気がする。きっとインバウンドの裏には日本の文化に貪欲な外国人旅行者が増えているから・・・?

我々はリノベーションで「日本の文化」をカタチにして伝えていきたい。