スマートでトリッキーな家

築年数
築20年以上
家族構成
ご夫婦+お子様1人
施工概要
フルリノベーション

リノベーションのきっかけ

お子様の誕生に伴い、結婚当初より暮らしたアパートを出てご両親が暮らしていたマンションへ住み替える事となったKさま。もちろんご主人様も学生まで長く暮らしたマンションは築20年が経過しており、ライフラインの老朽化は気になるところ。生活スタイルも当時とは違い、自分たちにあったこだわりの住まいづくりをと、全てを刷新するフルリノベーションをご決断されました。

ご実家をシンプルモダンな空間にフルリノベーション

既存のキッチンや和室を撤去し、隣接する主寝室の一部を使ってのLDK空間を設計しました。南面からの日差しを取り込める大きな窓は、LDKのどの場所でも明るく過ごしやしい空間になりました。リビングの壁面には、クルミの床材を用いてアクセント壁に。無垢の柔らかさが目線の高さにも感じられます。

開放的なLDKは時として見えなくてもいい物や見せたくない物もあらわになりがちです。キッチン背面に圧迫感を感じない乳白色のアクリルを板用いた3枚引違いの中に食器棚やパントリー、頻度の少ない家電をビルトイン。つい生活感が出る水廻りはいつもスッキリ綺麗に保てます。

考え抜いたスマート収納

キッチン動線の先はトースターやレンジ、ゴミ箱・冷蔵庫のスペース。頻度の高い物でも、普段から見えているのはスッキリしない・・・。キッチンから直線ラインの動線にする事でリビングからの目線を外し、奥様の動線もシンプルなものに。

キッチンからウォークスルー

キッチンからの直線ライン、その先には洗濯機、洗面台、お風呂、そしてメイン廊下やLDKの入口へつながる「回廊式」の動線となっています。これから家族も増えてくると、朝の時間帯は集中的に密度が高くなるスペース。誰もがスムーズに行き来できます。洗面や洗濯を兼ねない脱室室にする事で、入浴する人の「誰かが入ってきたら・・・」洗面したい人の「入りにくいな・・・」を解消しました。

お子さんの手が少し離れたころには、奥様も仕事復帰です。洗濯はどうしても夜になりがち。洗濯機の位置はそんな忙しい夜の家事動線も補っています。


トリッキーな扉

Before写真の中央にある廊下は自然光が入らず日中でも照明が必要なほど暗く、且つ空調などの配管が天井裏にあり低い天井でした。

「お部屋まるごと下駄箱」という収納空間を設ける事で、靴はもちろん、アウトドアセットやお仕事に必要な道具類、自転車やベビーカーなど大容量収納を実現。また、収納空間への建具は「ミラーガラス」を採用。隣接するバルコニーからの採光と、来客時には目隠ししておきたいを叶えました。もちろんお出かけ前のドレスチェックも可能です。玄関に自然光を入れ、目隠しになり、そしてミラーにもなる。開口時には壁の中にスルスルと隠れてしまう、ちょっぴりトリッキーな扉です。

ホール天井にステージを

低かった天井も必要最小限のダクトスペースを確保し、高さを確保。バランスをとるためシンメトリーに棚を設け、折り上げ天井を表現しました。その棚スペースには・・・熱狂的な野球ファンであるご主人さまのコレクションがズラリ!ご主人さまと奥様の、折り合いがついた場所です。

ブラックフレームでアクセント

廊下の暗さを解消したもう一つの建具。リビング入口のガラスドアです。玄関正面の位置になるガラスドア、来客時はLDKが見える事になります。生活シーンを見られる事がない様、ダイニングテーブル、カウンター、ソファーの位置は目線を外した位置に設計しました。

秘密の洗濯干し

リビング天井に埋め込まれたレール。実は、お洗濯干しレールです!
奥様の近い将来に仕事復帰された際は、洗濯物をバルコニーに出して出かける事が難しくなります。浴室乾燥機だけでも足りません・・・躯体の低い梁を利用して、お洗濯干し機能を設けました。干したいときに扉を開けば隠れていたフックがお目見え。ハンガーに掛けた衣類をフックに引っ掛けてカーテンの様に動かせば・・・あっという間にランドリー機能になります。扉の中はハンガーやアイロン台、裁縫セットなど「その場所に必要な家事道具」が片付けられる収納です。

扉を閉めている状態。この中にハンガーフックが収納されています。

扉を開けるとハンガーフックがぶら下がっています。掃除機もすぐ取り出せる位置です。

これによりスマートな部屋物干しが実現できました!


ご要望をお聞きしていてご夫婦に共通しているのが本・書籍の多さ。もちろんサイズもバラバラです。アパートでの暮らしの時から「共通容器にまとめる」整頓術をされていらっしゃるので、設計あたり容器寸法を1個1個お聞きし、必要な場所にその容器が適度に納まる収納場所や棚を考えました。

収納手前には薄畳を簡単に敷き込めます。不要な時は収納棚へ。

リビングの一角にはPCスペースがあります。カウンター板は、ご主人様が小学校からが使っていた祖父母からのプレゼントの学習机の板材。リメイクを施し思い出とともに新たな息吹を注いでくださいね。

お手持ちの収納ラックの大きさ、数量を把握し設計したクローゼット。自然換気できるよう壁面には換気口を設けています。

単行本は奥行165ミリのニッチな寸法を、家族以下通らない通路の壁面に設けスッキリ収納。マンガライフをごゆっくりどうぞ。

この空間にはご夫婦の将来への想いが込められています。限られたスペースの中でこれから増えるであろう家族のこと、自分たちの仕事や趣味のこと。収納や生活動線にこだわり、ご夫婦と共に考え抜いた結果、かしこく無駄のない、キレイ且つ巧妙で使い勝手のいい家。それが結果として、とてもスマートでトリッキーな空間となりました。